1. 上部消化管疾患
診療内容
上部消化管グループは食道・胃・十二指腸に発生する疾患を対象として診療にあたっています。その中には胃がん、食道がんをはじめとする悪性腫瘍、 日本人に多いヘリコバクター・ピロリ感染に基づく胃十二指腸潰瘍やMALTリンパ腫、萎縮性胃炎、更には逆流性食道炎を含む胃食道逆流症や機能性ディスペプシアといった機能性疾患が含まれます。
対象疾患
食道疾患
胃食道逆流症(GERD)、逆流性食道炎、
機能性胸焼け、食道アカラシア、食道けいれん、
ナットクラッカー食道好酸球性食道炎、食道がん など
胃疾患
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
機能性ディスペプシア(FD)
胃潰瘍
胃MALTリンパ腫、消化管間葉系腫瘍(GIST)、
胃悪性リンパ腫、胃粘膜下腫瘍、 自己免疫性胃炎、
急性胃粘膜病変(AGML)、特発性胃不全麻痺、好酸球性胃腸症
胃ポリープ、胃がん など
十二指腸疾患
十二指腸潰瘍、十二指腸腺腫、十二指腸がん、十二指腸炎、悪性リンパ腫など
2. 下部消化管疾患
診療内容
下部消化管班では小腸・大腸におこる疾患を対象として診療にあたっています。
その中には、大腸癌をはじめとする悪性腫瘍、潰瘍性大腸炎やクローン病を代表とする炎症性腸疾患、過敏性腸症候群のような機能性疾患が含まれます。
炎症性腸疾患(IBD; inflammatory bowel disease)
IBDは狭義では潰瘍性大腸炎(UC; ulcerative colitis)とクローン病(CD; Crohn's disease)に分類されます。IBDは遺伝的素因・腸内細菌・食事などの環境因子によって生じる過剰な免疫応答が原因と考えられています。日本におけるIBDの患者数は年々増加しており、UCは14万人、CDは3万人を超えたと考えられています。若年者が中心の病気で慢性の経過をたどるため、就学・ 就業・結婚・出産など社会的な影響も大きく今後ますますIBDに対する診療ニーズは高まってくると考えられています。さらに白血球除去療法、免疫調整薬、栄養療法の使用実績も豊富であり、IBDに対する集学的治療が可能です。さらに手術が必要な患者さんに対しても術炎症性腸疾患の治療は抗TNF-alfa抗体(レミケード®、ヒュミラ®)やプログラフ®の承認で大きく変わりました。前術後での一般消化器外科と消化器内科の協力体制が整っています。
悪性腫瘍
大腸癌の治療は診断、内視鏡治療、手術、化学放射線治療、緩和治療と多岐にわたります。そのため下部消化管グループでは、腫瘍センター、内視鏡センター、一般消化器外科、放射線診断科・治療科と連携して診断から治療までを行っています。また、大腸癌以外の悪性腫瘍(悪性リンパ腫、カルチノイド、GIST)も扱っています。各専門分野の連携を強め、患者様それぞれにベストの治療が行われるようその舵取りを行っています。
過敏性腸症候群
機能性胃腸症に含まれる過敏性腸症候群は、悪性腫瘍や炎症性腸疾患と比べ診断や治療法の開発が遅れてきました。
しかし本疾患は一種の現代病であり、いまでは多くの患者さまがその症状に悩んでおり日常生活に支障をきたすことも珍しくありません。最近、過敏性腸症候群に対する新薬も開発されており適切な治療により症状を改善することは十分可能となりました。
対象疾患
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病、膠原病に伴う腸病変、虚血性腸疾患、非特異性小腸潰瘍症、セリ アック病、地中海熱、アレルギー性紫斑病に伴う消化管病変
悪性腫瘍
大腸癌、下部消化管の悪性リンパ腫、GIST
過敏性腸症候群
その他
感染性腸炎、大腸憩室炎など