近年、医学生における女性の割合は増加しています。
女性には結婚、出産、子育てというライフイベントのため多くの時間を必要とすることもあり、消化器内科のように忙しいと考えられている科は少し敬遠する傾向があるようです。
しかし、「学生・研修医の皆様へ」の挨拶でも書いたように「仕事の質は人生、生活の質」に繋がります。医師として興味をもった分野が消化器内科であれば、本人にとってやりがいのある仕事を続けてもらうために最大限のサポートを行うのが教室の役割だと考えています。
医学部は学生としての期間が長く、医師として最も重要な初期教育を受ける時期とライフイベントの時期が重ねることもあり、女子学生、女性研修医のみなさんは様々な悩みを抱えていることと思います。
当科では女性医師が安心して働けるように、出産後支援プログラムを策定しました。
当教室にはこれまでに多くの女性医師が入局しており、それぞれのライフサイクルに合わせて仕事を続けています。家庭を持ち、子育てをしながら、ほとんど全員が何らかの形で復帰しており、大きな社会貢献をしています。また、海外留学を含めてキャリアを積んで、教育の場、研究の場で活躍していただくことも可能ですので、気軽に相談してください。
★女性医師キャリアアップの一例 (赤羽医師の場合)>>PDF
★出産後支援プログラム
当科では出産後の女性医師に対して、希望があれば、子供さんとの時間を大切にしながら無理のない復職を支援するプログラムを作成しています。 復職の時期、勤務する時間帯などは個々相談を受けながら進めていきます。
■ 後期研修1年目(3年目)に結婚、出産した女性医師が約1年間の育児休暇後に行っているプログラムの1例。
勤務は週3回9時から5時までとしており、当直やオンコールはありません。 午前中は上部消化管内視鏡検査や超音波検査等のトレーニングや外来での問診、処置を行います。
消化器内科医として必要な技術、各種検査をこの時期にマスターしてもらうことにより、今後2人目以降出産後に再度復帰する際に、よりスムーズな復職が可能となると考えています。午後は受け持ち患者さんの診察、大腸内視鏡検査等のトレーニングやカンファレンスに参加しています。
入院患者を担当するときには、3人主治医制の中の1人としており、勤務時間外に、患者さんの容態が急変した際は他の主治医が責任を持って対処します。
受け持ち症例は、できるだけ早期に内科専門医を取得できるように、 専門医申請に必要な分野を適宜本人から聞いて割り当てます。
勤務日は子供さんを医大前のなかよし保育園に預けており、急な高熱などの場合でも対応できます。 給与は後期研修医の待遇で、勤務時間に併せて大学の規定に基づいて支給されます。
また、奈良県健康づくりセンターでの健診業務(所内)や国保中央病院での外来診察も適宜、半日単位で手伝ってもらっています。
A医師は第1子出産後、プログラムを利用しながら各種専門医を着実に取得しています。大都市で働き始めた内科に進んだ同期の女医さんは、ほとんどが出産を機会にキャリアをあきらめているとことで、「この医局でよかったです」と話しています。
B医師は3人を出産するあいだ間欠的にプログラムを利用してキャリアアップをはかってきました。これまでは、子供さんの体調などに合わせて週に1-2回など無理のない範囲で復帰していましたが、一番下のお子さんが大学前の保育園に預けられるようになれば、大学院進学を考えているとのことです。当科の大学院は社会人大学院ですので学位取得年限が8年間あり、子育てを行いながら高い専門性を取得できます。この間に並行しながら順次必要な専門医取得を目指します。
当科の女性医師は皆仲が良く、年2回の消化器病学会近畿支部例会を利用して女性医師の食事会を行っています。先輩医師に何でも気軽に相談できると"女医会"は好評で多くの女性医師が毎回出席し、仕事のこと、将来のこと、子育てのことなどを美味しい食事を取りながら交流を深めています。